ノネコ問題に対して弊会評議員小島望教授が意見書を提出しました

皆様は「ノネコ問題」という言葉を耳にしたことがありますでしょうか?

2025年3月2日に小島望教授が『奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画』に対して財務省予算執行ご意見箱に意見書を提出しました。

財務省予算執行調査「予算執行ご意見箱」への意見内容(小島望) (1)

日本には「飼猫・飼犬」「ノラ猫・ノラ犬」の他に狩猟動物として位置付けられた「ノネコ・ノイヌ」がいます。「ノネコ・ノイヌ」とは、山野に常棲し(人の生活に関わることなく)野生の鳥獣等を捕食し生息している「ネコ」「イヌ」を指すとしていますが、指定された当時もその区別には疑義が呈されており、また狩猟鳥獣に指定された経緯も定かではありません。

昭和38年(1963年)の衆議院農林水産委員会の記録に「昭和22年(1947年:占領下)に諸外国の例に徴して加えたと考えている」という答弁が残っています。*通常は昭和24年(1949年)に指定されたとされている

その後、昭和48年(1973年)に制定された動物愛護法では「ネコ」にノラ猫やノネコという区別なく「愛護動物」になり、これまで多くの団体が狩猟鳥獣からノイヌ・ノネコの削除を要望してきましたが、鳥獣保護管理法の見直しが成されることなく現在に至っています。

そして2018年から希少動物の捕食者として奄美大島では生態系保全のためのノネコ管理計画が始まり5年間で環境省と地方自治体の費用総額は4億4千万円にも上りました。計画書には「一時的に森林内に侵入しているノラネコや飼い猫も捕獲される可能性があるが、これらも希少種等を捕殺して在来生態系へ影響を及ぼすおそれがあることから本計画に基づき対処する」と記されています。

つまり「ノネコ」という名目で「すべてのネコ」に対応する形になっており違法性が否めません。

データ上では殺処分された猫は「0」となっていますが、それは殺処分を阻止するために愛護団体や個人が自費を投じて保護譲渡を進め移送しているからに他ならない状況です。

生態系保護のために「ネコ」が問題となるのであれば、狩猟動物として捕獲や殺傷が容易にできる「ノネコ」という名称を隠れ蓑にするのではなく、愛護動物の「ネコ」として適正な対応対策を考えていくべきでしょう。

動物愛護議員連盟の動物愛護法改正プロジェクトチームでもノイヌ・ノネコ問題として4回の会議が持たれ、第4回目の会議では小島教授がヒアリングに招かれています。

全4回の会議内容が公益財団法人動物環境・福祉協会EvaさんのHPに掲載されていますので併せてご覧頂ければと思います。

https://www.eva.or.jp/noinunonekopt